ピエモンテワイン:歴史
他の様々な地方と同じように、ピエモンテ地方に初めてワインをもたらしたのは古代ギリシャ人でした。古代ギリシャ人たちはリグリア海に面したの港に寄港し沢山のワイン入りの樽を降ろすとそれらとともに内陸へと開拓を始めワイン造りやブドウの栽培は徐々にピエモンテ地方に根付いて行きました。ローマ帝国時代にはピエモンテのワインとその品質は確固たる評価を得ていたようです。ピエモンテのワイン造りの歴史で最も評価すべき点としてはローマ帝国の没落や他民族の侵略、戦争や災害などの歴史上の様々な困難な時期にも高品質なワインを造り続けてきた点にあると言えるでしょう。中世には”アスティ”という街ではピエモンテ地方でも最も有名な品種となるネッビオーロを使って生産するワインによって栄光の時代を迎えていました。この頃のワイン農家の人々は当時としては最先端の農業知識と技術を駆使して栽培を行っており、短く剪定を施す”Short Pruning”も彼らによって紹介されたものです。さらに驚かされるのは、郊外や田舎でのワイン作りの質が向上する一方で、この時代からピエモンテの人々や地方自治体ではその土地と土地で生産されるワインの価値をよく理解し、その価値を守っていく為の仕組みやルールを作り上げていた事です。そのおかげで1500年代に入ると画期的なワイン造りに関する転換期が訪れ、近代とほとんど変わらない製法がすでに確立されていたと考えられます。こうしたピエモンテでのワイン造りに対する取り組みがこの地方のワインの名声を高め、太陽王として有名なフランスのルイ14世からも愛されるまでのワインとなりました。1700年代には農業革新によりワイン生産は農業の生産物の中心となり、1850年代からはより高品質なワインの生産量を高めるために法整備や管理などを行う行政機関である”農商務省”が設立されています。
ピエモンテワイン:気候と風土
ピエモンテのワインが評価される理由の一つはワイン造りに適したその気候にあると言えます。この地方はそのほとんどが丘陵地や山岳地帯で周りをアルプスやアペニンなどの山脈に囲まれているために厳しい自然環境から守られていると言えます。緩やかに起伏する海抜350〜550メートルほどの丘からなる一帯は柔らかく、侵食されやすい岩などを多く含む土壌から成っています。
気候は大陸性気候で季節や日によって気温差が激しく、山々に囲まれた平坦な場所では特に冬が長く、夏が暑く成ります。ピエモンテでは降雨量も多く、湿度も高いという特徴があり、霧が発生しやすく、冬は山や丘のある一体では雪が降ることも多くあります。
ピエモンテワイン:カナベーゼ エリア
カナベーゼはトリノの北部に位置するピエモンテ州の歴史的エリアで、美しく広がる自然保護区と壮麗な城、色とりどりの田舎風景が印象的な地域です。もし私たちがイタリアの赤ワインについて語るならまず一番に思い浮かべるのはバローロなどに代表されるピエモンテの赤ワインでしょう。バローロが複雑かつ繊細な製法でネッビオーロぶどうから造られている事を全ての人が知っているわけではありませんが、実際にネッビオーロはピエモンテで栽培される赤ぶどうの王様と言える存在です。白ワインではエルバルーチェが有名でピエモンテで作られるワインでは最も質の良いワインとして1500年代より当時の王室などに評価されています。